コンテナ取扱施設拡充問題研究部会

令和6年度活動計画

  • 東京港コンテナターミナルの充実・強化策の検討

2023年(令和5年)は、東京港を初め世界の港湾はコロナの影響を脱したが、ロシアのウクライナ侵攻,紅海の商戦攻撃によるスエズ運河の迂回などの地政学リスク、気候変動によるパナマ運河の通航制限など外洋海上輸送に混乱を生じた。そうした中で、サプライチェーンの一国依存からの多重化、Eコマースの増加に応える物流センターの整備、及びデジタル化やCY、倉庫など物流施設の自動化のなどの取り組みが進んだ。また、感染症のパンデミックや地震災害、気候変動、地政学リスクなどの危機に対する港湾のハード、ソフト面での耐性の強化が不可欠なことが深く認識された。

一方、東京港の基本的な課題は、日本の他港がコンテナ施設の過剰、過大能力であるのと異なり、東京港の能力がハード、ソフトの両面において絶対的に不足していることである。これまで当部会ではコンテナ貨物取扱の一層の円滑化と貨物取扱量の増加に対応するため、コンテナ埠頭の新設、充実や交差点の立体化などを港湾局・関係機関等に4度にわたる提言などで提出してきた。

さらに、2019年(平成31年)2月に都港湾局にトラックターンタイムの通年・リアルタイムの計測と公表を行うことを提言した。2021年(令和3年)7 月 から東京港の CT 所要時間見える化システムが稼働し、通年、リアルタイムで実態が専用 HP で公表されて、2024年度はその結果分析と活用の調査がよていされている。

2021年(令和3年)9月に提出した第4次提言では、東京港は、物流拠点を基幹とする大都市港湾と位置づけ、目指すべき姿は、荷主・船社、港で働く人々、港湾産業、環境貢献において選ばれる港であるとした。

2023年12月1日に東京都は東京港第9次港湾改定計画を決定した。また、東京港埠頭株式は、2024年3月29日に経営戦略(2024年度唐028年度)で大井埠頭再々整備、青海埠頭再編、品川埠頭再編を発表した。

当会は、提言の実現とともに第9次港湾改定計画と東京港埠頭株式会社の経営計画の促進を目指し、コンテナ物流の実態に留意しつつ、関係者との意見交換や国内や海外の港湾事情の調査等を行い、東京港の空間的な制約を踏まえながらコンテナ施設の整備・再整備及び脱炭素化やDX、自動化、コンテナ車両の待機時間削減策などの方策を検討していく。

  • 国際コンテナ戦略港湾政策について

国土交通省港湾局は、2009年(平成21年)から東西基幹航路誘致のための超大型コンテナ船用のCT整備、集貨、創貨などによる「国際コンテナ戦略港湾政策」を推進してきた。2024年2月16日国土交通省港湾局は、「新しい国際コンテナ戦略港湾政策の進め方検討委員会」の最終取りまとめを公表した。基本方針は「集荷」「創価」「競争力強化」の三本柱の取り組みを引き続き強力に推進するとしている。しかし、新旧の戦略港湾政策は日本の地理的な位置と産業構造、及びグローバルなコンテナ物流の変化を踏まえたものとは認めがたく、日本の港湾政策として妥当性を欠いていたと言わざるを得ない。グローバルな動向もとで、日本発着コンテナ貨物の実態を踏まえ、船社、荷主、港運、陸運などのニーズに的確に応える政策と運営体制が強く望まれる。

「新しい国際コンテナ戦略港湾政策」は東京港の将来に極めて大きな影響をもたらすものであることから、今後も引き続き、調査、検証を行っていく。

  • コンテナ貨物流動、コンテナ海運の動向の調査、分析

短期的にも、長期的にも米国、欧州とアジア地域間の東西航路及びアジア域内の国際物流が大きく変動時代において、東京港のポジションを的確に認識することが益々重要な課題となっている。こうした状況を踏まえ、コンテナ貨物取扱量とコンテナ船社の動向を分析し、わが国の国際貿易における東京港のステータスを明らかにし、その後の進むべき方向の基本認識を共有することが大切である。その際、需要な分析ツールである足元の外貿コンテナ港湾統計の改善が重要であるので、課題と対策を引き続き明示してゆく。

また、東京湾内の羽田空港第5滑走路整備構想や東京臨海部の開発構想、横浜港新本牧CTなどのプロジェクトの動向と東京港への影響について情報収集と分析が必要である。
以上を踏まえ、東京港の将来展望と戦略について専門的見地に立脚した見解を取りまとめ、発表するとともに広く情報交換を進める。

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